2011年2月14日月曜日

日経平均は続伸、高値警戒感のなか円安が下支え

 [東京 31日 ロイター] 前場の東京株式市場で日経平均は続伸。高値警戒感による利益確定売りも出て上値は重かったものの、前日の米株上昇や、1ドル93円台に進んだ円安が下支えしてしっかりと推移し、1万1000円台を維持した。
 市場では「午後2時以降に海外勢のバスケット買いが主力株を中心に150億円程度入りそうだとの観測もあり、売りにくくなっている。あくまでうわさであるほか、高値警戒感もあり買いにも慎重だ」(準大手証券トレーダー)との声が聞かれた。
 前場の東証1部騰落数は値上がり813銘柄に対して値下がり688銘柄、変わらずが166銘柄。東証1部の売買代金は6385億円だった。
 市場関係者の間からは「特に昨年と比較すれば、年度最終日の3月31日に1万1000円に乗せれば上出来ではないか」(国内証券)との声が少なくない。一方、「あす4月1日の第一生命保険(証券コード:8750)の新規上場で、市場全体の底上げに対する期待感が強まっている」(カブドットコム証券投資情報局?マーケットアナリストの山田勉氏)という。ソニーフィナンシャルホールディングス<8729.T>など保険銘柄がしっかりだった。
 半面、高値警戒感は継続しているという。東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏は「米経済指標の改善や円安などを好感して買いが先行したものの、アイスランドの格下げに関するニュースなどで欧州懸念もくすぶり上値追いに慎重になっている。国内勢のバスケット売りなども観測されている」と述べた。
 スタンダード?アンド?プアーズ(S&P)レーティングス?サービシズは30日、アイスランドの外貨建てのソブリン信用格付け「BBBマイナス(長期)/A─3(短期)」を据え置く一方、自国通貨建てソブリン信用格付けは「BBBプラス/A─2」から「BBB/A─3」に引き下げた。S&Pのクレジットアナリスト、モーリッツ?クラーメル氏は、金融危機に見舞われた2008年末に導入した資本規制について「同国のぜい弱な対外流動性の状況にとって、長期的な解決にはならない。景気回復に不可欠な投資の抑制につながりかねない」としている。
 業種別では、不動産、その他金融、保険の上昇が目立った。証券や空運、非鉄金属は軟調。
 個別銘柄では、岩井証券<8707.T>が午前9時15分からの売買再開後、売り先行となった。31日にCSKホールディングス<9737.T>傘下のコスモ証券の買収交渉が決裂したことは事実だと発表したことで失望売りが出た。
 三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、三菱UFJフィナンシャル?グループ<8306.T>などの銀行株がさえない。鳩山由紀夫首相は30日夜、官邸で行われた閣僚懇談会終了後、郵政改革法案を亀井静香郵政?金融担当相と原口一博総務相が24日に発表した骨子を軸に早期に策定するよう指示したことを明らかにした。焦点となっていた郵貯の預入限度額を2000万円、簡保の加入限度額を2500万円にそれぞれ引き上げる方針を示した。市場では「民間銀行からの資金流出懸念が、あらためて意識されているようだ」(国内証券投資情報部)との声が出ている。
 主力株はキヤノン<7751.T>が堅調な一方、ソニー<6758.T>やトヨタ自動車<7203.T>が売られるなどまちまち。
 (ロイター日本語ニュース 石渡 亜紀子記者)

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